2024/11/20

ワクチンで救われた約1億5,400万人の命。
Lancet掲載論文「生存と健康への予防接種の貢献
拡大予防接種計画50年のモデル化」をご紹介。

今年4月にUNICEFやWHOから届いた、ワクチン接種の効果に関する世界規模の調査結果が最も著名な医学雑誌「Lancet」に掲載されたとの嬉しいご報告。
今日は、この論文に内容についてご紹介したいと思います。

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スイスバーゼルのスイス熱帯公衆衛生学研究所のA.J. Shattock等は、1974年にWHOが開始した拡大予防接種計画(EPI)の50周年を記念して、EPI開始以来の公衆衛生における予防接種のグローバルなインパクトを定量化しました。

彼らは数理モデルを使って14種の病原体について、50年間の予防接種のインパクトを地球全体及び地域別に推定しました。
これらの病原体については、1974年以来投入された全ての定期接種と追加接種におけるワクチンの接種率を考慮し、歴代の予防接種がなかったという仮定のシナリオに対して、避けられた死亡率と罹患率を年齢別に推定しました。
そして、このモデルの結果を用いて、同時期における地球全体の乳幼児と小児の死亡率の低下に対する予防接種の貢献度を推定しました。

1974年以来、予防接種によって1億4千600万人の5歳未満の子ども(そのうち1億100万人は1歳未満の乳児)を含む1億5千400万人の死を回避することができました
そして、地球全体で観察された乳幼児死亡率の減少の40%が、特にアフリカ地域では52%が予防接種によってもたらされたと推定されました。
2024年時点で、予防接種がなかったという仮定のシナリオに比べると、実際の10歳未満の子どもが次の誕生日まで生存できる可能性は40%以上も高くなった可能性が想定されます。
生存の確実性の増加はずっと成人期の晩年まで観察されます。
予防接種による回避死亡者数、獲得生存年数、獲得健康年数について、ワクチンの種類別の貢献度では麻疹ワクチンが最大、次いで破傷風、百日咳のワクチンとなっています。

彼らの研究から、1974年以降地球上の全ての地域において子どもの生存の相当な改善が起きていること、EPI単独で過去50年以上にわたって乳幼児の生存に対して大きな貢献をしてきたことが推測されます。
プライマリー・ヘルス・ケアの強化の観点から、健康増進を維持し、予防可能な感染症による死亡から将来の命を守り続けるためにも、予防接種への公平で世界共通のアクセスが続いて重要であることを彼らの研究結果は示しています。

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はしかや破傷風、百日咳など、JCVも途上国の子ども達に支援するワクチンが、この50年の間に世界でいかに多くの子ども達の命を守ってきたかが分かります。

残念なことに新型コロナウイルスの世界的流行によって、EPIは大きなダメージを受けました。
JCVの支援国であるラオスやブータンなどでは接種が順調に進んでいますが、世界全体で見ると、主なワクチンの接種率は低下したまま、依然としてコロナ以前の水準までは回復していません。
現在の状態が長く続けば50年間のEPIの成果を無駄にしてしまうかもしれません。
現在はまさにクリティカルな状況にあると考えられます。

JCVは、1人でも多くの子ども達の命を救うため、支援国の保健省、医療従事者、現地UNICEF事務所などと協力し、子ども達にワクチンを届けてまいります。
小さな命を守るため、皆さまのご協力よろしくお願いいたします。

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この記事を書いたひと

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乙津 俊輔

広報・啓発・教育グループ所属。広報啓発活動や、画像使用申請、講師派遣などを担当しています。

認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを日本委員会 japan Committee Vaccines for the World’s Children

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