
世界では今も、予防できる感染症によって1日約4,000人の子どもたちが命を落としています。
開発途上国ゆえに、自国でワクチンを賄えないことに加え、紛争や災害の影響、険しい山岳地帯や島しょ地域で交通の便が悪いことなどの問題が、必要なワクチンを子どもたちへ届けるための大きな障壁となっています。
JCVでは現在、ミャンマー、ラオス、ブータン、バヌアツの4か国でワクチン支援を続けていますが、この記事では、それぞれの国が抱える問題と、現地から届いた声をご紹介します。
皆さまのご支援が、どのように子どもたちの命を守っているのかを知っていただければ幸いです。
「途上国ではワクチンが不足している」と耳にすることはあっても、その理由は国によって大きく異なります。
紛争によって医療体制が機能しない国もあれば、山岳地帯で診療所まで何時間も歩かなければならない地域、小さな島々に人々が暮らしているため、ワクチンを運ぶこと自体が難しい国もあります。
だからこそ、子どもたちへ確実にワクチンを届けるためには、それぞれの地域に合わせた支援が必要です。
ミャンマーでは、2021年の軍事クーデター以降、不安定な情勢が続いています。さらに2025年3月には大地震が発生し、医療体制にも大きな影響を与えました。
そのような状況の中で、ポリオやはしか、ジフテリアの発生も確認されており、感染の拡大が懸念されています。
感染症は、罹ってから治療することが難しい環境だからこそ、「予防」が何より重要です。JCVは現地のUNICEF事務所と協力しながら、支援から取り残されている国境周辺の少数民族地域の子どもワクチン接種を支えています。

ラオスは東南アジア唯一の内陸国です。平野部では接種が進んでいる一方、山間部では診療所まで10km以上離れた集落も珍しくなく、十分に接種が進んでいません。また、国内を移動しながら暮らす季節労働者の子どもたちへ、漏れなくワクチンを届けることも課題となっています。
「必要な時期に、必要な子どもへ届ける。」当たり前のように思えることを実現するため、現地と協力して日々活動を続けています。

ヒマラヤ山脈の麓に位置するブータンでは、首都でも標高約2,000mを超えます。特に、山奥に点在して暮らす村の人々には、看護師が片道8時間かけて訪問ワクチン接種を行っています。
その努力の積み重ねにより、高山特有の厳しい環境の中でも、現在は主要なワクチンの接種率90%台後半を維持。地道な努力が実を結び、先進国の日本以上に高い接種率を保っています。

83の島々からなるバヌアツでは、60を超える島に人が住み、看護師がボートで島々を巡って子どもたちへ必要なワクチンを届けています。
また、現地UNICEF事務所と協力し、電気が通っていない島の診療所にソーラーパネルで稼働する保冷庫を設置するなど、コールドチェーンの整備も進めています。
2025年には百日咳の流行が発生しましたが、現地看護師の懸命な活動により、早期の終息につながりました。しかし現在も、必要なワクチンをすべて接種できた子どもは3人に1人にとどまっています。

子どもワクチン支援活動の成果は、数値やデータだけではなく、現地で聞いた安心の声や出会った笑顔にもあらわれています。
JCVが支援する国々では、日本から届けられたワクチンが子どもたちの命を守り、多くの家族や医療従事者の支えとなっています。ここでは、実際に支援を受けた方々から寄せられたメッセージをご紹介します。
「ブータンに継続してワクチンを贈ってくださる日本の皆さま、本当にありがとうございます。私たちが住む村は、診療所まで歩いて何時間もかかる高山の頂上付近にあります。感染症にかかれば、治療が間に合わず手遅れになってしまいます。ワクチンは村の子どもたちを守るための大切な命綱なのです。
息子も今日、はしかや破傷風などのワクチンを接種することができました。これでこの子も健康に成長できると思うとうれしいです。」

「2025年に首都を中心に百日咳の感染者が出た時、多くの親が診療所にやってきたことをよく覚えています。診療所での対応はもちろん、1人でも多くの子どもたちの命を守るため、同僚とともに各地の村を回って出張ワクチン接種を行ったことで、幸いなことに早期に流行を止めることができました。
日本の皆さまの支援のおかげで、私たちは子どもたちを守ることができています。本当にありがとうございます。子どもたちの命を守るために、これからも一緒に歩んでいきましょう。」

4か国それぞれが異なる課題を抱えていますが、共通しているのは、ワクチンが子どもたちの命を守る「生命線」であり、多くの笑顔につながっていることです。
皆さまから寄せられる支援は、必要なワクチンや関連機器となって現地へ届けられ、多くの子どもたちの命と未来を支えています。キャップ回収や書き損じハガキ・切手回収など、日常の中でできる支援も、その大切な力の一つです。
キャップ1個、1枚のハガキ、1回の寄付。その一つひとつの行動が、子どもたちの「無事に成長してほしい」という願いを支えています。これからも、皆さまとともに世界の子どもたちへワクチンを届けていきます。
