2026/03/19

日本国内ではしかの感染が拡大しています

2月19日(木)に国内ではしか(麻疹)の感染者が相次いで見つかっていることをお伝えいたしました。それから1か月、残念ながら各地での感染拡大が続いています。東京都新宿区の飲食店では、9名の集団感染が発生。さらに、福岡市のマリンメッセ福岡で行われたアイドルグループのライブイベントの観客の方の感染をはじめ、飲食店、大型商業施設など不特定多数と接触した感染者も確認されており、今後の感染拡大の可能性が高くなってきています。

国立健康危機管理研究機構(JIHS)の調査に基づく、各都道府県の感染者数は以下の通りです。

はしかの感染状況

都道府県名 感染者数(人)
北海道 1
青森県 0
岩手県 4
宮城県 0
山形県 0
福島県 0
茨城県 1
栃木県 4
群馬県 0
埼玉県 6
千葉県 8
東京都(新宿区、港区など) 19
神奈川県 10
新潟県 10
富山県 0
石川県 0
福井県 0
山梨県 0
長野県 1
岐阜県 1
静岡県 0
愛知県 18
三重県 0
滋賀県 2
京都府 1
大阪府 9
兵庫県 1
奈良県 1
和歌山県 0
鳥取県 0
島根県 0
岡山県 0
広島県 1
山口県 0
徳島県 0
香川県 0
愛媛県 0
高知県 0
福岡県 1
佐賀県 0
長崎県 0
熊本県 0
大分県 0
宮崎県 0
鹿児島県(鹿児島市) 1
沖縄県 0
合計 100

※3月11日時点。

最新の情報では、さらに増加している可能性があります。気になる方はお住いの都道府県や市区町村からの発表をご確認ください。また、自身での診断は難しいので、疑わしい症状のある方は「病院、保健所等に連絡の上で」受診をお願いいたします。

はしかの症状はどんなもの?

はしかは、感染者と体が触れる、感染者が触ったものに触れる接触感染、感染者が咳やくしゃみをした際に飛び散るウイルスを多く含むしぶきを吸い込んでしまう飛沫感染、そして、しぶきが乾燥し、病原体が空気中を漂う空気感染のいずれでも感染します。ワクチン接種や過去の感染により免疫を持っていないと、ほぼ100%感染してしまうと言われています。

7〜21日の潜伏期間を経て発症し、症状は、カタル期(初期)、発疹期、回復期と変化します。

カタル期(初期):

38〜39℃の発熱、鼻水、咳といった風邪に似た症状が3~4日続きます。この段階での判別は困難です。徐々に、酷い結膜炎や大量の目やに、涙が止まらないといった症状も現れます。また、コプリック班と言われる白い斑点が口の中に数日だけ数日だけ現れます。

 
左:口内にできた白いできもの(コプリック斑)。はしか特有の症状の1つ。
右:はしかの結膜炎を発症した子ども。

発疹期:

いったん熱が下がった後、半日~1日程度で40℃以上の高熱が出ます。さらに、耳の後ろや顔など体の中央部から赤い発疹が全身へと広がります。このような症状が3日程度続きます。さらに、咳や鼻水などカタル期に出ていた症状がさらに酷くなるほか、脳炎、肺炎、口内炎などの合併症も現れることがあります。

この時期が最も症状が酷い時期です。何らかの合併症が出る人は約30%。感染者全体で見ると、約40%の人が入院治療が必要となります。

 
左:はしかにより、背中全体に出た発疹。
右:顔などにはしかの発疹が出た子ども。

回復期:

カタル期から数えて7日程度で徐々に熱が下がります。同様に発疹も消えていきますが、色素が沈着し跡が残ってしまうことも多いです。

なお、過去にはしかのワクチン接種を1回のみ受けた・2回接種を受けたものの10年以上が経過し免疫が低下した、といった場合は、上記の経過を辿らないことがあります。これは「修飾麻疹」と言われ、症状は比較的軽く済むことが多いと言われます。

他の人への感染力はいつまで続くの?

はしかは、症状が出る1日前から解熱後3日を経過するまで、他の人への感染力を持ち続けます。特に、カタル期が最も強い感染力を持ちます。

発熱などがある場合は、はしかだけでなく、インフルエンザなど他の感染症にかかっていることも考えられます。体調が悪い人は、症状を悪化させないため、そして他の人に感染を広げないために、無理をせず外出を控えた方が良いでしょう。

回復後も免疫力の低下に注意

2019年にハーバード大学の研究グループが発表した論文により、はしかは、感染後に免疫を記憶している細胞(メモリーB細胞、メモリーT細胞)を破壊し、人間の免疫を大幅に低下させることが実証されました。これは、パソコンやスマホのデータを初期化してしまうようなもので、これまでの人生で獲得してきた免疫を一気に失い、赤ちゃんの状態に戻されてしまいます。

これを「免疫健忘」と呼びます。はしかの感染で消える免疫は、個人差もありますが全体の11~73%。元に戻るまでは平均2~3年もかかり、その間、他の感染症にかかりやすくなってしまいます。

なお、こうした免疫力の低下は、はしかのワクチンを接種していた人には起こりません。

 
左:はしかのワクチン
右:はしかのワクチン接種を受ける途上国の子ども

特にはしかにかかりやすい方はこちら

以下の方は、特にはしかにかかりやすいのでご注意ください。

1:ワクチンを未接種で、感染したこともない方
※1972年9月30日以前に生まれた方が当てはまります。ただし、この世代は、日本国内でもはしかが頻繁に流行していたため、感染した経験のある方も多くいます。
2:1回のみ接種(2回未完了)や接種歴不明で、感染したこともない方
※特に、1972年10月1日~2000年4月1日の間に生まれた方は、1回接種世代のため要注意です。
3:1歳未満の乳児(母親の免疫が弱まっていた場合)

また、約5%程度ですが、はしかのワクチン接種を受けても免疫が付かない人がいるほか、最後のワクチン接種から10年以上が経過している方は、2回目の接種を受けていても免疫が弱まっていることがあります。同様に、免疫を抑制する薬を飲んでいる方、他の病気で免疫力自体が落ちている方も注意が必要です。

世界の子ども達にもはしかのワクチンが必要です

はしかが発生しているのは、日本だけではありません。先進各国でも流行が発生し、イギリスなどのヨーロッパ諸国ははしかの流行国に逆戻りしてしまいました。中でも、自力でワクチンを確保できない途上国の状況は深刻です。一度、感染者が出れば地域全体に感染が広がることも珍しくなく、今も多くの子ども達がはしかで亡くなっています。

JCVは、はしか、ポリオ、破傷風などの基礎的なワクチンを途上国の子ども達に届けています。はしかのワクチンは、1人分わずか約260円。誰もが子ども達の命を守ることができます。募金以外にも、ハガキや切手、ペットボトルキャップの回収、古本や衣類の買取なども支援につながります。皆さまの無理なくできる範囲で、JCVの「子どもワクチン支援」にご協力いただけると嬉しいです。

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この記事を書いたひと

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乙津 俊輔

広報・啓発・教育グループ所属。広報啓発活動や、画像使用申請、講師派遣などを担当しています。

認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを日本委員会 japan Committee Vaccines for the World’s Children

私たちは、
子どもたちの未来を
守る活動を行っています。

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