「ゴッドファーザー」や「地獄の黙示録」など数々の映画で監督を務めたフランシス・フォード・コッポラ氏。
アカデミー賞、ゴールデングローブ賞など、数々の映画賞を受賞した名監督です。
しかし、そんな彼が子どもの頃、ポリオを発症していたことはあまり知られていません。
昨年末、コッポラ監督は現地メディアの取材に自身のポリオ発症の経験について話されました。
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「多くの人たちは、ポリオがたった一晩で歩けなくなったり、体が完全にマヒしてしまう病気だと知らないんだよ。
「あの晩のことはよく覚えている。熱が出て、病院に連れていかれたんだ。そこは子ども達でいっぱいだった。ベッドより入院している子ども達が多くて、ベッド代わりの担架が廊下に3つ、4つと積み上げられているほどだった。
『鉄の肺』の中にいる子ども達の顔も、鏡越しに見ることができた。みんな、お父さんやお母さんを思って泣いていたよ。」
「私は、周りを見回してベッドから出ようとした。でも、床に倒れてしまって、自分が歩けないことに気づいたんだ。10日間ほど入院して、ようやく両親が家に連れて帰ってきてくれた。」
「あるフランス人の医師にはこう告げられた。
『君は兵士にもなれる。長生きすることもできる。車いす生活でなら、だけどね。』
ポリオを完治させる治療方法はなかったのさ。それを告げられた後、大好きな中華料理を食べに行ったのだけれど、泣いてしまったのを覚えているよ。」
「それでも、父は私の治療を諦めなかった。そして、慈善団体「マーチ・オブ・ダイムズ」の看護師シスター・ケニーの元に連れて行ってくれて彼女のリハビリ療法を試した。
そこでウィルソンさんという白髪の年配の女性を紹介されたんだ。素晴らしい方だったよ。週に4回家に来てくれて、手足を持ち上げるような軽いエクササイズをしてくれた。4、5か月かけたこのリハビリで私は少しずつ動けるようになったんだ。
今日も私が歩けるのはシスター・ケニーの療法のおかげだし本当に感謝しているよ。」
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いかがでしたか?
コッポラ監督は現在85歳(1939年生まれ)。ポリオワクチンが広く使われ始める1954年以前、多くの子ども達がポリオに苦しんでいたことを知る生き証人の1人と言えますね。
彼が受けたリハビリテーション療法は、ポリオによる筋肉の萎縮をできる限り防ぐ方法として、世界に広まりました。
今では、「ケニー療法」と名付けられ、未だ完治させる手段のないポリオによるマヒを、少しでも緩和させる手段として多くの人々を救っています。
彼のようにポリオに感染して苦しむ子ども達を1人でも少なくするために、私たちJCVはこれからも子どもワクチン支援に取り組んでいきます。