先週12月12日~12月15日の4日間にわたって、日本政府、世界銀行、世界保健機関(WHO)、ユニセフ、UHC2030の共催にて「UHCフォーラム」が東京で開催されました。ワクチンに関するサイドイベントの様子をご紹介します。※UHCとは、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの略称。― 誰もが、どこでも、お金に困ることなく、自分の必要な質の良い保健・医療サービスを受けられる状態 ―を指します。
■12月12日 Linking R&D to Access & Delivery: Virtuous Systems Powered by UHC
世界初の新薬開発に特化した官民連携パートナーシップ「GHIT」、Gavi、国際ワクチン研究所(International Vaccine Institute: IVI)、日本製薬工業協会(製薬協)のトップによる、ワクチン開発とアクセスについてのパネルディスカッションの様子です。
Gaviが2000年に誕生して以来、安価なワクチン開発と供給が促進されました。これまでに900万人以上の命を救い、Gaviの支援国のワクチン接種率(DTP3を接種した割合)は、2000年から21%上昇し、80%にまで改善しています(詳しくはこちら、Gaviのページが開きます)。ワクチン接種が拡大することは、UHCの達成とイコールであることが強調されました。そして、HIV/AIDS、マラリア、結核、顧みられない熱帯病など、これまで十分な研究開発が行われてこなかった感染症に対する医薬品・ワクチンなどの研究開発を支援しているGHIT。このGHITの仕組みのお陰で、日本の製薬会社の本業での国際貢献度が増したと言われています。パネリストが共通して言っていたのは、「薬やワクチンを送るだけでは不十分」ということ。専門医の育成や、UHCモニタリングを強化すること、そして、組織や団体どうしが競合するのではなく、協調することの重要性が述べられました。
■12月15日 Strategic Investment in Global Health Vaccine R&D Strengthening collaboration among global initiatives and harnessing private sector engagement
世界銀行、厚生労働省、国際エイズワクチンイニシアチブ(IAVI)、Gaviの担当者による、グローバルなワクチン研究開発とアクセスのためのパートナーシップについて議論がありました。「開発支援の目線で立ち上げ、ビジネス目線で運営する」ことが重要だと強調されました。
どのセッションでも共有して言われたのが、「ワクチンで予防する」ことのインパクトの大きさです。JCVで贈っている経口ポリオワクチンは、1回分わずか20円。この20円がもたらす効果は、経済的にも保健的にも非常に大きいものがあります。東京で開催されたUHCフォーラムでは、これを再確認し、世界の子どもたちを1人でも多く救うための、ワクチン開発や供給に目を向ける機会となりました。
会場となった東京プリンスホテルのクリスマスツリー。この華々しいフォーラムが、どう今後に活きるか、が大きな課題です。