2026/11/06

【支援国のバヌアツを現地視察】
南太平洋の島国で、ワクチン接種の現状と課題を確認

JCVは2026年8月22日(土)から29日(土)まで、支援国の一つであるバヌアツを訪問。支援者の皆さまとともに、エスピリトゥサント島(以下サント島)やエファテ島周辺の診療所、ワクチン保冷庫、出張接種会場などを視察しました。

現地では、日本から贈られたワクチンやソーラー保冷庫が大切に活用されていることが確認できた一方で、離島への輸送や看護師不足など、解決すべき課題も残っています。今回の視察で見えてきた成果と課題、そして改善に向けた動きをご紹介します。

大切に使われているワクチンやコールドチェーン機器

今回、JCVとしては7年ぶりにバヌアツ最大の島・サント島を訪問しました。視察時には、近隣諸国でのはしかの流行を受け、1~5歳の子どもを対象とした追加接種キャンペーンの準備が進んでいました。JCVの支援で届けられたMRワクチンが使用される予定で、島北部のポートオリー集落では約50人の親子に向けた接種の啓発活動も行われました。

サント島を含むサンマ州を管轄する保健局のルイザ局長からは、
「このようなワクチン接種の大切さを伝える啓発活動や出張接種などの取り組みにより、はしか・おたふくかぜ・風疹を予防するMMRワクチンの州全体で接種率は、約90%に達しています。」
「JCVと支援者の皆さまのおかげで、今の規模の接種ができ感謝しています。」
とのメッセージをいただきました。

 
左:ポートオーリー集落の子ども、右:ブリーフィングを行うサント島保健局ルイザ局長

ワクチンを安全に届けるには、適切な温度で保管・輸送する「コールドチェーン」が欠かせません。電気が通っていないポートオリーの診療所では、JCVが支援したソーラー保冷庫が稼働していました。ソーラーパネルは清掃しやすく、また、サイクロン接近時には取り外せるよう、低い位置に設置されるなど工夫され、大切に使われていました。

 
左:ワクチン接種を受けるバヌアツの赤ちゃん、右:ポートオーリー診療所のソーラーパネル

医療人材の確保やワクチンの運搬の面では、課題が多く残る

一方、サンマ州で必要なワクチンをすべて接種できた子どもは約56%にとどまります。その背景には、島国ならではの様々な課題があります。

まず、看護師の不足です。サント島には21カ所の診療所がありますが、看護師不足のため稼働しているのは17カ所のみ。そのため、接種会場までの移動に時間や費用がかかってしまいます。その上、保護者が子どもを連れて来ても、常に診療所に必要なワクチンがあるわけではなく、接種を受けられない場合もあります。
また、ワクチンの運搬に関する問題も深刻です。サント島の西側には、集落までの道路がない地域もあるため、看護師はワクチンを持って小型ボートで約4時間移動して集落へ向かう、という過酷で地道な努力を続けています。

これらの問題は、サント島に限った話ではありません。エファテ島近くのモサ島でも、2013年以来、診療所に常駐する看護師がいない状態が続いていました。この地域では約2,000人を一人の看護師が担当し、懸命に地域の医療を支えています。

子どもたちに確実にワクチンを届けるために、調達・保管・輸送・接種すべてを包括的に支援する、JCVの子どもワクチン支援がこれからも必要とされています。

 
左:ボートでモサ島に上陸する視察団一行、右:バヌアツの診療所の様子

確認できた、医療環境の改善に向けた明るい兆し

課題が多い一方で、視察では前向きな変化も確認することができました。1つめは、2024年の視察時には閉鎖されていた看護学校が、2026年初めに再開されたことです。バヌアツ国内で、再び医療人材の育成ができるようになり、看護師不足の改善につながることが期待されます。

また、モサ島では、看護師が滞在できる住居がないことが赴任の壁となり、島に看護師がいない状況が続いていましたが、このたび、診療所の隣に小さな家を建設。視察時点では9月の完成と新たな看護師の赴任が予定されていました。ワクチン接種など医療へのアクセス改善に向けた一歩が見えています。

 
左:バヌアツの看護師、右:モサ島に建設された看護師用の住居

現地を訪問したJCV職員からのメッセージ

「今回は7年ぶりにサント島を訪問し、ご支援いただいたワクチンや保冷庫が大切に活用されている様子を見ることができました。一方で、アクセス困難な地域や離島への移動、看護師の不足など、子どもたちにワクチンを届けるには多くの課題も残されています。そうした中でも、日々地道な活動を続ける看護師の皆さんの姿がとても印象的でした。

2010年からの継続支援により、バヌアツでもたくさんの子どもの笑顔を守ることができています。引き続きあたたかいご協力をお願いいたします。」

清水 大輔

これからも、バヌアツの子どもたちへワクチンを!

今回の視察を通じて、皆さまの支援が子どもたちの命を守るために役立っていること、そして継続的な支援が必要なことが、あらためて確認できました。

ワクチンを安全に保管し、遠く離れた集落まで運び、子どもたち一人ひとりに接種するため、現地では多くの人々が力を尽くして、そのすべての過程を支えています。JCVはこれからも現地の関係機関と密に協力し、皆さまのあたたかいお気持ちと一緒に、バヌアツの子どもたちに必要なワクチンを届ける活動を続けてまいります。

この記事を書いたひと

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乙津 俊輔

広報・啓発・教育グループ所属。広報啓発活動や、画像使用申請、講師派遣などを担当しています。

認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを日本委員会 japan Committee Vaccines for the World’s Children

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