10月27日、法務省の職員で、国立国際医療研究センター国際医療協力局客員研究員の小林誠医師がJCVを訪れ、バヌアツのはしか・風疹ワクチンの現状を報告してくださいました。小林医師は、WHO(世界保健機関)の短期派遣として2015年9月12~29日の日程でバヌアツを訪問。同国の全国一斉はしか・風疹ワクチン接種キャンペーンを視察し、様々な課題を見てこられました。
今回のキャンペーンでは、1歳~5歳未満の子どもに経口ポリオワクチン・ビタミンA・虫下しの薬が、そして15歳未満の子どもたちにはしか・風疹ワクチンが接種されました。83の島からなるバヌアツにおいて、全国一斉ワクチン接種を行うことは簡単なことではありません。今回のキャンペーンでは、携帯電話のショートメール機能や村に住むヘルスワーカーの戸別訪問で広報し、当日は保健師や看護師が再度村や学校で広報を行ったことが、ワクチン接種の徹底にとても有効に働いたそうです。接種からもれた子供は、保健師、看護師が戸別訪問して接種しました。
村民が協力的であったことに加え、実施時期が活動しやすい春の乾期であったため、キャンペーンはおおむね順調に進みました。医学部がなく、看護学部しかないバヌアツでは、看護師がワクチン接種の重要な担い手となっています。こうした看護師が責任感を持ってワクチン接種を行っている様子にも頼もしさを感じたそうです。しかし、小林医師は、「ワクチンを希釈するための溶解液の温度管理が一部で徹底されていない」「タイト過ぎる村や学校への訪問計画」など、改善するべき点も指摘しています。こうした所見はWHOやバヌアツの保健省への意見提言となるそうです。日本人医師の活躍によって、今後の同国のワクチン接種がさらに発展することに期待したいと思います。
お忙しい中報告会を実施してくださった小林先生、どうもありがとうございました!