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ワクチンとは

世界の予防接種事情について

世界中で、感染症を防ぐための予防接種は実施されています。
グローバリゼーションが進み、私たち人間は飛行機や船舶、電車、車などの交通手段を使い、どこにでも行けるようになりました。同時に、人から人へと感染する病原菌(ウイルス)も人と一緒に遠く移動することになりました。ウイルスがどこにでも動くことのできる現在、感染症が流行する可能性は拡大し、予防接種は、病気にならないための医療として、重要度がますます高くなってきています。

2005年の世界子供白書によれば、年間に世界で生まれてくる子どもたちは、およそ1億3,344万人といわれています。そして、国連児童基金(UNICEF)の報告では、年間約3,000万人の子どもたちが十分に予防接種を受けられずにいると言われています。

どうしてそのようなことが起きてしまうのでしょうか。少し考えて見ましょう。

1)そもそもその国に予防接種のためのワクチンがない、あるいはワクチンを必要とする子どもたちに届けるための運搬手段がないから。

2)予防接種を受けるための保健センターなどの施設がない、あるいはあったとしても、その施設が家から遠く何時間も歩いて行かなくてはならないから。

3)子どもの両親が予防接種について正しい知識を持たず、なぜ接種が必要か理解していなかったり、いつ、どこで行われるのか知らなかったりするから。

上の理由から分かるように、ワクチンが無かったり、たとえワクチンがあったとしても、接種を受ける場所がなかったり、遠かったり、両親が自分たちの「からだ」について学ぶ教育を受けられないと、その必要性がわからず、子どもたちが予防接種を受けられないのです。

表1 世界のワクチン別予防接種率(抜粋)
  BCGワクチン DPT3回目接種 ポリオ3回目接種 はしかワクチン
中央/東ヨーロッパ、CIS 93.3 94.9 95.1 95.8
東アジア及び太平洋地域諸国 86.7 83.9 84.1 83.7
ラテンアメリカ及びカリブ海諸国 95.7 91.0 91.0 92.0
地中海地域及び北アフリカ 89.1 86.4 90.1 88.9
南アジア 78.8 65.0 65.0 63.9
サハラ砂漠以南アフリカ 76.0 66.0 68.3 64.6
世界全体 83.2 77.6 78.0 76.8

WHO/UNICEF 2007年予防接種報告
※地域区分:ユニセフ2007年子供白書 p.136

表1をご覧ください。
この表は、世界のワクチン別予防接種率を示したものです。表全体を見ると比較的高い数字が並んでいるな、という印象を持たれるかもしれませんが、世界全体の平均よりも接種率が低い地域が2つあります。「南アジア」地域と「サハラ砂漠以南アフリカ」地域です。

二つの地域には、どのような問題があるのでしょうか。
貧困、教育、衛生的な環境、食糧問題など日本と比べたときに何が違うのでしょうか。

数字には表れない指標

JCVが支援をしているミャンマーとラオスは、「東アジア及び太平洋地域諸国」、ブータンは「南アジア」に属しています。予防接種率の高い地域の国でも、ワクチンや「コールド・チェーン」等の予防接種関連機器、施設を、自国でまかなうことができる国は少数で、先進国からの支援に頼っている国も多いのです。

JCVは、この様な、「予防接種率は高いけれども、ワクチンが足りない国」への支援を継続的に実施していく方針です。これは、その国の保健システムがきちんと整い、高い予防接種率を維持できるようになるまでは、必要なことなのです。

いつまでワクチン支援を続ければよいのですか?

支援者の皆さまからこんな質問を受けることがあります。
「後どれくらいワクチンを贈れば、もう必要がなくなるのですか?」

世界中で1日に六大感染症*で亡くなる子どもの数は、2006年の発表では約4,000人にものぼります。実際にこれを防ぐにはどのくらいのワクチンが必要なのでしょうか。皆さんと一緒に考えていきましょう。(*六大感染症=ポリオ、はしか、結核、ジフテリア、百日咳、破傷風)

感染症とは、ウイルスが体内に侵入することによって、死んだり後遺症に苦しんだりする病気のことを言います。ところが、ワクチンを使った予防接種によって、高い確率で病気の発症を防げるのです。同時に安価なワクチンの開発により、感染しないように予防したほうが、感染してしまってから治療するよりも、ずっと経済的に負担が軽くて済むのです。ポリオ、破傷風、ジフテリア等の子どもの命をおびやかす感染症は、定期予防接種の普及により、今では日本での発症例も非常に少ないことから、なじみのない病気になりましたが、発展途上国ではいまだに脅威となっているのです。

日本の場合を考えてみましょう

日本では、これらの感染症の予防接種は次のように実施されています。
2008年4月1日現在、ポリオの場合は、生後18ヶ月までに2回、破傷風・ジフテリアは百日咳と合わせた「DTP三種混合ワクチン」を生後12ヶ月までに3回、生後18ヶ月から30ヶ月までに1回と、そして小学校5年生の時に、破傷風・ジフテリアの「DT二種混合ワクチン」の追加接種を1回と全部で5回もするのです。

日本では発症例がなく、なじみのない感染症でも、同じアジア地域や世界のどこかで感染が報告されている限り、その感染症のワクチンを、日本でも、途上国でも同じように接種しなければなりません。つまり、私たちが支援の対象としている、子どもが感染しやすい「六大感染症」は、世界中で生まれてくる子どもたち全員に投与される分が必要です。

1年間に世界で生まれてくる子どもの数は、およそ1億3,344万人。そのすべての子どもたちに、ワクチンが必要です。そして、同じ様に次の年もその次の年もワクチンは必要になってくるのです。したがって、JCVがワクチンを贈る必要がなくなるのは、途上国が日本のように、自国で毎年必要なワクチンを準備できるようになった時なのです。

国によって違う予防接種システム

それでは、いつどんなワクチンがどれだけ必要なのでしょうか。 それは各国の保健制度によって違います。たとえば、同じ「はしか」でも、国によっては、はしか単体のワクチンを使用する場合もあれば、三種混合(はしか、おたふく風邪(マンプス)、風疹)のワクチンや、二種混合(はしか、風疹)のワクチンを使用する場合もあります。これは、それぞれの国の方針や、その時供給できるワクチンの種類や価格等で変わってきます。

JCVでは、国連ユニセフや様々なNGOと連携しながら情報を収集し、皆さまに、可能な限り分かりやすくワクチンの必要性や、価格、システムについて説明してまいりたいと思っています。

参考ホームページ: 国連ユニセフ 予防接種のページ「なぜ子どもたちは亡くなっているの?」(英語)
http://www.unicef.org/immunization/index_why.html