ワクチン事典
ワクチンの価格
JCVでは、限られた資金を、最も効率的にワクチンに換え、世界の子どもに贈る方法として、国連機関とパートナーシップを組んで、ワクチンや、ワクチン関連機器やコールドチェーン用機器を購入し、必要な国の政府に贈っています。JCVは設立当初より、国連児童基金(UNICEF)と連携して、皆さまからいただいた募金を少しでも多くのワクチンに換えて贈ることができるよう努めています。
| ワクチン名 | 一人分単位 |
| ポリオ(小児マヒ) | 約20円 |
|---|---|
| MMR(はしか、おたふくかぜ、三日ばしか) | 約114円 |
| BCG(結核) | 約7円 |
| はしか | 約95円 |
| DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風) | 約9円 |
UNICEF・サプライディビジョンによる概算
ワクチンの歴史
ワクチンは、いつごろから人類にその奇跡的な効果をもたらしたのでしょうか。
1796年のジェンナーの発明以降、人類は輝かしい科学の力によって、わずか200年余りの間にさまざまなワクチンを発見し、予防医療として活用することに成功してきました。
▼ 簡単にワクチンの歴史を振り返ると
| 前近代 | 瘡蓋を擦りつけて意図的に痘瘡を感染 |
|---|---|
| 1796年 | ジェンナーの種痘(牛痘) |
| 1880年 | パスツールの炭疽菌ワクチン |
| 1885年 | パスツールの弱毒狂犬病ワクチン |
| 1920年 | BCG(弱毒ウシ型結核菌) |
| 1930年 | 破傷風トキソイド |
| 1957年 | セービンのポリオ経口弱毒生ワクチン |
| 1960年 | 麻疹生ワクチン |
| 1980年 | 組織培養型不活化狂犬病ワクチン |
| 1983年 | DNA組換えB型肝炎ワクチン |
ワクチンの歴史を振り返るとき、実際には不幸な事故の数々を忘れてはなりません。
代表的な事件をここに挙げます。技術の進歩の陰には、実際には犠牲がつきまとうことが多いようです。
| 1930年 | 【ドイツ・リューベックBCG事件】 251名の乳児が結核発症、72名死亡 ※強毒性のヒト型結核菌が混入 |
|---|---|
| 1948年 | 【京都ジフテリア事件】 606名に重篤な副反応、65名死亡 ※無毒化不十分なトキソイド |
| 1955年 | 【カッター社ポリオワクチン事件】 94名の接種児童に麻痺、120名に二次被害 ※ウイルス不活化過程に誤り |
すべての人にとって100%安全なワクチンの開発は事実上不可能

その理由は:
1.「ヒトは遺伝的に非常に不均一」な集団であること
2.「アレルギー等予測できない」後天的リスク要因の存在
ポリオ生ワクチンでは、300万人に一人くらい、ワクチン麻痺の子どもが出ます。しかし、野生型ポリオが流行した場合、ウイルスに感染した子どもの100人か200人に一人の割合で麻痺がでます。このように、リスクが1万倍以上違うのです。
可能な限り安全で有効なワクチンを可能な限り多くの人に届ける。
それがワクチンを作るうえでの目標となります。
「JCVワクチンシンポジウム櫻田医師講演資料より」
コールドチェーンとは

ワクチンは、ウイルスから人体に害となる毒を取り除いたもの、あるいは弱めた、いわば生き物です。そのため、一定の低温度で保存しなければ効果がなくなってしまい、運ぶときの温度管理がとても大切です。ワクチンの効果を保ちながら、子どもたちの元に贈る一連の手順や仕組み、またそのために必要な設備(具体的には冷凍庫やクーラーボックス、停電したときの補助発電機、輸送手段など)を「コールドチェーン」(低温の鎖)と呼んでいます。
JCVではワクチンに限らず、必要な設備である、冷蔵・冷凍庫やクーラーボックス、停電時に必要となる発電機、自転車、バイクなども援助しています。
全国一斉予防接種キャンペーン
感染症は部分的・段階的に根絶することが困難なため、一部の人だけが予防接種を受けても感染症の蔓延を防ぐことはできません。しかし、途上国では医療従事者が不足し、また医療設備も整っていないばかりか、予防接種に対する知識や重要さを認識している国民が少ないため、普通に定期健診を実施しても予防接種率をあげる事ができません。そこで、途上国では国や地域をあげて、まるでお祭りのように予防接種キャンペーンを実施する事で参加を促し、予防接種率を高めています。
- NID
- National Immunization Days 全国一斉予防接種日(ミャンマー連邦共和国)
(※sNID・・・準全国一斉予防接種日)
- CHDs
- Child Health Days 全国子ども保健日キャンペーン(ラオス人民民主共和国)
用語集
- 感染症
- 感染症とは、ウイルスが体内に侵入することによって、死んだり後遺症に苦しんだりする病気のことをいい、ワクチンを接種して予防することにより、高い確率で発症を防げます。また感染後に治療するよりも、安価なワクチンを接種して予防する方が経済的な負担も軽くて済みます。子どもの命を脅かす、六大感染症(ポリオ、はしか、結核、ジフテリア、百日咳、破傷風)は、定期予防接種の普及により、日本での発症例は非常に少なくなりましたが、途上国ではいまだに大きな脅威となっています。
- 免疫システム(生体防御システム)
- 自己と非自己を識別するシステム。最も原始的な生体防御システムは、高等生物ばかりでなく、下等な生物にも備わっている。高等動物の免疫システムは、「認識」と「記憶」という機能を有している。抗体により宿主を守る液性免疫とマクロファージやTリンパ球等が働く細胞性免疫に分かれる。また、抗原特異性に着目して、非特異的な自然免疫と特異的な適応免疫に分ける場合もある。
- 抗原
- 免疫応答を誘導する物質。多くはタンパク質であるが、糖や脂質も抗原になりうる。非自己の抗原は、抗体やリンパ球によって認識され、生体から除去される。
- 抗体
- 脊椎動物以上で、免疫応答により誘導される液性免疫の主体となるタンパク質。樹状細胞などの抗原提示細胞によりTリンパ球に対して抗原提示がなされ、そのTリンパ球の抗原認識の下にBリンパ球によって産生される。生体は外界のあらゆる物質に対応して抗体を産生できる。抗原と抗体の特異的関係はよく「鍵と鍵穴」の比喩で説明される。
- ウイルス
- 核酸(DNAまたはRNA)とそれを包むタンパク質の殻からなる微小な構造体。宿主細胞の代謝系を利用して自己複製を行う。細胞を持たないことから、生物の定義に当てはまらず、非生物とされる。宿主との間に、種特異的な対応関係を持つことが多い。
- 細菌
- 細胞を持ち、原核生物に分類される。一般には、古細菌を除いた真正細菌を指す。核酸としてはDNAとRNAの両方を持ち、複雑なタンパク質、脂質、糖鎖構造からなり、多様な栄養要求性を持つ。必ずしもヒトに対して病原性を持つとは限らない。生態系の維持にあたって、真菌とともに最大の貢献者である。
- Control
- 疾病の罹患率、有病率、死亡率をその局地において受容可能なレベルにまで下げること。これらの指標を一定レベルに保つために継続的努力が必要。
- Elimination of Disease
- 定められた地域において、特定な疾患の罹患率をゼロにすること。ゼロ指標を保つために継続的努力が必要。
- Elimination of Infection
- 定められた地域において、特定の病原体による感染をゼロにすること。ゼロ指標を保つために継続的努力が必要。
- Eradication
- 全世界において、特定の病原体による感染症の罹患率をゼロにすること。達成後は、ゼロ指標を保つための努力は必要がない。
- Extinction
- 特定の病原体が、自然界にも実験室にももはや存在しないこと。
- Endemic
- 地方病、風土病の意味であるが、一定地域における疾病の罹患率が一定であること、または一定の季節的周期で繰り返される定常状態を指す。
- Epidemic
- 流行病の意味。一定地域における疾病の罹患率が通常の期待値超えて増加していること、またはこれまで流行のなかった地域に疾病が見られること。
- Pandemic
- ある疾病が特定の地域を越えて、全世界に流行すること。Epidemicが世界中で起きていると考えられる。